広範性発達障害

 精神遅滞の場合は、その人の知能を正確に理解し、その人に適した環境を周囲が作り上げることが求められます。健常者に比べて生産性が低くとも、その人の努力を認めてあげることが大切です。
 さて、精神遅滞と混同されやすい障害の一つに、広汎性発達障害というものがあります。特徴としては、まず対人関係に乏しい点が挙げられます。これはコミュニケーション障害とも関連しており、共感性が欠けているからだと言われています。興味の範囲が限定的なのが最大の特徴で、こだわりが強く、そこで障害に気付いてもらえることがあります。具体的には、反復行動が目立ちます。能力面でも気付かれることがあり、年齢相応の想像力が欠如していることもあります。普通は加齢とともに、情報の統合と推測とが発達しますが、それらがないのです。周囲の人の多くがその異常性に気付くような場合、「自閉症」と診断されます。逆に上述したような特徴が明白とは言えず、発症年齢が遅かったりすると、「非定型自閉症」と診断されることもあるようです。また、対人関係を除いて、それほど能力面で劣っていないグループを、「アスペルガー症候群」と診断することがあります。つまりこれらの障害に共通しているのは、対人関係の構築が難しいという点であり、他人と感情を共有できない傾向にあるのです。他人の行動に合わせる協調性も無く、性格の問題であるとして、嫌われることも珍しくありません。推論が苦手なことから、将来の見通しがつかず、それが過度の精神的ストレスに繋がります。音や匂いといった刺激に敏感である一方、必要な刺激を選択することが苦手であり、その時々で情報を取捨選択することが出来ません。広汎性発達障害の人に対しては、まず基本的なルールを教えることから始めなければなりません。普通は自然に覚えるような暗黙の了解も、障害者にとっては未知の領域なのです。